診療科

小倉第一病院 診療科形成外科疾患別コラム(形成外科:ケロイド・肥厚性瘢痕)

形成外科

疾患別コラム

ケロイド・肥厚性瘢痕

どんな病気か

けがや手術のあとにはきずあと(医学的には瘢痕〈はんこん〉といいます)ができます。瘢痕部分の線維成分が過剰に増殖した状態が、ケロイドや肥厚性瘢痕〈ひこうせいはんこん〉と呼ばれます。よく“ケロイド”という言葉でまとめられて使われていますが、ケロイドと肥厚性瘢痕とは異なる疾患です。

症状

ケロイドと肥厚性瘢痕には下記のような違いがあります。

ケロイド

  • 成因:不明のことが多く、浅い小さな損傷でも発症することがあります
  • 人種:黒人>黄色人種>白人 の順に発生しやすいといわれています
  • 体質:発生しやすい体質(いわゆる「ケロイド体質」)の方がいらっしゃいます
  • 好発部位:胸の正中部、三角筋部、肩甲部、耳介、耳後部、恥骨上部が好発部位とされていますが、全身どこでも発生の可能性があります
  • 自覚症状:強いかゆみ、いたみ、あかみ、ひきつれ感
  • 他覚症状:病変がもともとのきずの範囲をこえて周辺に拡大します

肥厚性瘢痕

  • 成因:比較的深めのきずで、治ゆに時間を要した場合に発生しやすいとされています
  • 人種:ケロイドのような人種差はないとされています
  • 体質:ときにケロイド体質を認めることがあります
  • 好発部位:全身どこでも発生の可能性がありますが、特に関節部分のように動きの大きい部分に発生しやすい傾向があります
  • 自覚症状:かゆみ、いたみ、あかみ、ひきつれ感
  • 他覚症状:病変がもともとのきずの範囲を越えることはありません

治療法

(1)保存的治療

ケロイド、肥厚性瘢痕ともに、多くの場合で以下の治療を複数組み合わせて行います。

  • A. 圧迫療法

テープ、スポンジ、サポーター、シリコンゲルシート、コルセットなどによる圧迫で、患部の固定し安静を保つようにします。

  • B. ステロイド剤投与

ステロイド剤にはかゆみなどの自覚症状を和らげる効果と、病変部の過剰なコラーゲンを減少させる効果が期待できるという理由で利用されます。具体的には軟膏・クリームを塗布する、ステロイド剤含有のテープを貼る、病変部に直接注射する、といった方法があり、注射が最も効果があるとされています。

  • C. 抗アレルギー剤の投与

かゆみなどの自覚症状緩和目的で使われます。

  • D. レーザー治療

血管の数を減らすレーザーが有効とされていますが、現在では健康保険を適用しての治療はできません。

  • E. その他

液体窒素を使った治療法など、種々の治療法が報告されています。

(2)外科的治療

肥厚性瘢痕やケロイドによってひきつれ(瘢痕拘縮〈はんこんこうしゅく〉)が生じている、見た目にとても気になるといった場合には手術の適応となります。しかし、特にケロイドの場合、安易に手術すると手術前より大きなものになってしまうことから、手術については慎重に判断する必要があります。再発のリスクがあるためです。形成外科では、できる限り再発しないような縫い方の工夫をし、さらに術後に放射線治療を行うことで再発をおさえることができるようになりました。ただし、きずあとが消えてしまうということではありませんので、治療にあたっては効果や限界について担当医とよく相談して十分ご理解いただいた上で行うことが必要です。

(3)術後放射線治療

ケロイドの手術後に放射線治療を行うことで再発を予防する効果があります。最近のケロイド治療における放射線治療では、線量や照射方法が改善されていますが、周囲の正常皮膚への障害や、わずかながら将来的な発がんリスクが増える可能性は否定できないので、担当医とよく相談して十分ご理解いただいた上で行うことが必要です。

予防

①適切なきずの治療を行う:不適切な治療が行われると肥厚性瘢痕やケロイド発生のリスクが高くなります。可能であれば、早期から専門医による治療を受けることが望ましいです。

②予防的な処置を行う:きずが治ゆした後、早期からテープやシリコンゲルシートによる圧迫を行うことで、予防につながるとされています。こちらについても専門医による治療が望ましいです。

ケロイドと肥厚性瘢痕は、きずの治ゆ過程の異常で発生します。これらは見た目の問題だけでなく、痛みやかゆみを伴い生活の支障となる場合があります。適切なきずの治療と予防処置で発生や悪化をおさえることも可能ですので、早期に専門医に相談することが重要です。

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