診療科
整形外科
脊髄から手足まで運動機能を要する身体部分を運動器といいます。整形外科はその機能の低下に対応しています。ここでは透析患者さんを中心に筋肉や神経由来の痛み、腱鞘炎、関節炎による痛みや障害などに外用薬、内服薬、注射などの治療から始め、必要であれば手術治療を行います。また、常日頃から患者さんが大きな病気や障害を被らないように予防や対策を施すのも整形外科の務めです。
透析患者さんの診療について
透析患者さんでは、血液透析特有のアミロイドの蓄積が増えると肩、関節、腱といった運動器に直接影響を及ぼすことになります。脊髄の破壊、変形による神経障害、肩、股、膝など大きな関節の破壊と機能傷害、手指の可動域障害や神経障害が加わり、日常生活が不便になります。
手については、多くはばね指と手根管症候群であり、両者とも症状の軽いものは外来でステロイドの注射治療が有効です。屈伸で引っ掛かりと疼痛が強いものは外来で局所麻酔をした上で経皮的に腱鞘切開をしており、5分程度の手術です。また、手根管症候群ではしびれが強く、神経の伝達速度が低下したときには、連携医療機関にて局所麻酔下で10分程度の内視鏡手術を行います。再発の場合や、相当量のアミロイドの蓄積が予測される場合には十分な皮膚切開をして直視下の手術を行います。いずれも日帰りで行うことが可能です。
比較的大きな骨折や、股関節、膝関節、脊椎などの手術を要す一般的な疾患、あるいはアミロイドに侵されて破壊や神経障害が発生した場合には、透析が可能な連携医療機関に紹介し、必要であれば手術をうけていただくことになります。
主な検査について
整形外科は骨、関節が中心のため、基本の検査はレントゲン撮影に始まり、多くは当院で診断可能です。しかし、①脊椎由来の神経症状が疑われる場合、②透析アミロイドによる骨・関節の破壊が考えられる場合、③局所性の腫れや何らかの腫瘍が疑われる場合などには、MRI検査が必要です。その際は、連携医療機関にお願いしています。
手根管症候群で手術適応の判断の一つとして、侵される正中神経の神経伝導速度検査(終末潜時)を連携医療機関で行います。
※本院における整形外科は、透析をされる外来・入院患者さんの日常生活をサポートするのが主な役割であり、限られた診療時間内で医療相談や治療を行っております。