診療科
形成外科
疾患別コラム
熱傷(やけど)
熱傷(やけど)は日常生活で良く遭遇する外傷の一つです。
一般には、高温の液体や固体、あるいは火炎が皮膚に一定時間以上接したことで生じるものですが、比較的低い温度(44~60度)で生じる低温熱傷、薬品(酸、アルカリ溶液など)による化学熱傷、電流(家庭電源、落雷など)による電撃傷などがあります。
熱傷は組織の傷害が皮膚のどの深さまで及んでいるかでⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類されます。
Ⅰ度 | Ⅱ度 | Ⅲ度 | |
---|---|---|---|
損傷レベル | 表皮より浅い | 表皮、真皮 | 皮膚全層・皮下組織 |
症状(外見) | 赤み(充血、発赤) | 水疱(水ぶくれ) | 乾燥(黒色、白色) |
症状(自覚) | 痛み、熱感(熱い) | 痛み(損傷レベルが深くなるにつれて痛みが減少) | 無痛、感覚なし |
治癒期間 | 数日 | 1~4週間 | 1ヶ月以上 |
傷跡 | 残らない | 残る場合と残らない場合がある | 残る |
Ⅰ度 | Ⅱ度 | Ⅲ度 | |
---|---|---|---|
損傷レベル | 表皮より浅い | 表皮、真皮 | 皮膚全層・皮下組織 |
症状(外見) | 赤み(充血、発赤) | 水疱(水ぶくれ) | 乾燥(黒色、白色) |
症状(自覚) | 痛み、熱感(熱い) | 痛み(損傷レベルが 深くなるにつれて 痛みが減少) |
無痛、感覚なし |
治癒期間 | 数日 | 1~4週間 | 1ヶ月以上 |
傷跡 | 残らない | 残る場合と残らない 場合がある |
残る |
Ⅰ度熱傷
表皮のみの損傷で、外見上は皮膚が赤くなり、痛みを伴います。通常、数日程度で傷あとなく治ります。
Ⅱ度熱傷
損傷が表皮の下の真皮にまでおよんだ状態で、多くの場合で水疱(水ぶくれ)ができます。真皮の損傷の程度で、Ⅰ度にちかい浅いものと、Ⅲ度にちかい深いものに分けられます。浅いものは痛みは強いものの、傷あとを残さずに治癒することが多く、深いものはどちらかというと痛みが少ないことが多く、治癒までに時間を要し傷あとが残ることが多いとされます。
Ⅲ度熱傷
損傷が表皮、真皮を越えて皮下組織(筋肉・脂肪など)にまで及んでいる状態です。神経や血管まで損傷されることで、痛みの感覚がなく、外見上も血流が乏しい色(白色・黒色)となることが多いとされます。部位や面積にもよりますが、長期間の治療を要し、傷あとや機能障害なども残りやすいとされます。
応急処置
直ちに冷却することで、熱による皮膚損傷が深くなることを防ぐだけでなく、受傷部位の痛みをやわらげることができます。冷却は、水道水程度の冷たさで良く、時間は20分程度を目安とします。衣類を身につけていて脱がせづらい場合には、衣服の上から冷やしてかまいません。やけどした部分に指輪などのアクセサリーが着けられている場合、時間が経つと腫れのために抜けなくなるため、あらかじめ外しておくようにします。
応急処置後の治療
狭い範囲のⅠ度熱傷、Ⅱ度熱傷であれば、市販の絆創膏などを用いて治療することができますが、次のような場合には専門医の診察を受けることをお勧めします。
- 受傷した面積が広い:脱水になる可能性があり、全身的な治療が必要になることがあります
- 受傷した部分の皮膚の色が白い、あるいは黒い、あるいは痛みがほとんどない:深い熱傷の可能性があり、手術治療が必要になることもあります
- 顔面、手、関節部分、陰部のやけど:適切に治療されないと、見た目や機能の面で重い後遺症が残ることがあります
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