診療科
腎臓内科
疾患別コラム
糖尿病関連腎臓病
どんな病気か
糖尿病関連腎臓病(DKD)、または糖尿病性腎症は、糖尿病が原因で起こる慢性的な腎臓の障害です。糖尿病による高血糖が長期間にわたって続くことで、腎臓の血管が障害され、腎臓の機能が徐々に低下していきます。糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害と並んで、糖尿病性三大合併症のひとつとされています。
原因
糖尿病性腎症の主な原因は、持続する高血糖状態による腎臓へのダメージです。高血糖が腎臓の微細な血管に慢性的なストレスを与え、それが腎臓の機能障害を引き起こします。また、高血圧や喫煙など他のリスクファクターも腎臓病の進行に寄与します。
症状
初期段階では、症状がほとんど現れないことが多いですが、進行して腎機能が低下すると症状は慢性腎臓病の症状と同じです。
- むくみ(特に足や顔)
- 疲労感
- 頻繁な尿意や夜間尿
- 吐き気や食欲不振
- 肌のかゆみや乾燥
- 筋力の低下
治療
糖尿病性腎症の治療の基本は、糖尿病のコントロールです。HbA1c 7%未満の維持を目標に血糖値をコントロールします。また、高血圧や脂質異常症などを合併している場合、それらも一緒にコントロールすることが重要です。併せて、食事療法、運動療法なども必要となります。腎機能が低下した場合は慢性腎臓病の治療に準じます。また、一部の糖尿病の治療薬が腎機能に保護的に作用することが知られており、慢性腎臓病の治療として用いられます。
- 血糖値の厳格なコントロール(食事療法、運動療法、薬物療法)
- 血圧の管理
- 適切な食事療法(塩分やタンパク質の摂取制限)
- 薬物療法(ACE阻害薬やARBなど)
予防
糖尿病性腎症の予防には、糖尿病の効果的な管理が最も重要です。定期的な検査により血糖値と血圧を適切にコントロールし、健康的な生活習慣を維持することが推奨されます。
まとめ
糖尿病性腎症は、適切な管理と治療によりその進行を遅らせることが可能です。早期発見と早期治療が鍵となりますので、糖尿病をお持ちの方は定期的な健康診断を受けることが大切です。
Q&A
糖尿病性腎症は完治するのでしょうか?
糖尿病性腎症は完治する疾患ではありません。血糖コントロールを良好に維持することで糖尿病腎症の進行を遅らせることが重要です。
糖尿病性腎症の早期発見のためにはどのような検査が有効ですか?
早期発見には尿中アルブミンの測定が必須です。進行して腎機能が低下する前に早期発見することが重要です。
糖尿病性腎症はどのくらいの期間で進行しますか?
糖尿病性腎症の進行速度は個人差がありますが、通常は数年から数十年にわたって徐々に進行します。血糖値や血圧の管理が不十分な場合は、病状が速やかに悪化する可能性があります。
糖尿病性腎症の食事療法において注意すべき点は何ですか?
塩分の摂取を控え、タンパク質の摂取量も制限することが推奨されます。また、カリウムやリンの摂取量にも注意が必要です。その人の腎機能に応じた食事療法が必要となるので、管理栄養士や医師と相談し、個々の状態に合わせた食事療法に取り組むことが大切です。
糖尿病性腎症に有効な運動療法はありますか?
適度な有酸素運動は血糖値と血圧の両方を管理するのに効果的ですが、運動プログラムは個人の健康状態に合わせて理学療法士や医師と相談の上で計画することが重要です。有酸素運動やレジスタンス運動をその人の状態に応じて組み合わせることをお勧めします。
当院は予約制です。受診の際は、
お電話にてご予約ください。
- 小倉第一病院 予約受付番号
- 093-582-7730